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憧れの景色

隣町には、木造の素敵な駅舎を望む、長い並木通りがあり、誰かの小説で「世界一ロマンチックな道」だったか、そんな言葉で書かれていると知り、すっごく行ってみたかった。
興味のない旦那は、毎度のことだけど「ひとりでチャリンコ漕いで行ってくれば?」とつれない返事。
花より団子なんだから~、勿体ないなぁ。
いいよ。1人で行ってくる。

一気に寒くなった東京だけど、秋だからこそ見られる景色って、絶対にある。
坂道を自転車で下って、近所の本屋さんで、旦那の欲しがってる本を買い、行ったことのないけやき並木の先へと進んだ。
道がぐんと狭くなって、急な下り坂。
ゆっくり慎重に進んで、広そうな道を曲がってみた。
住宅街に入って、住所を確認すると、行きたい街とは違う名前。
方向は正しいはずなんだけど、隣町じゃなかったのか?と不安になる。
間違ってたら、道を尋ねながら家に帰ろう。
そう思いながら、くねくねくねくね進んでいく。

本気で迷ったけど、何だか楽しい。
大きな通りにぶつからないのに、歩いてる人が沢山いて、きっとすぐそばには、幹線道路や踏切があるんだと思えてしまう。
前からやってくるバスの表示を確認して、自分の見当のつく場所だと、安心する。
30分ほども走っただろうか。
カーブを曲がって、商店街の様な場所に出て、突き当たりに構える建物を見上げると、大きく**駅と表示されていた。
取り壊しが決まったとは知っていたが、素敵な駅舎の姿が見当たらない。
もう壊されたのか?
いや、それにしてはおかしい。
見事な並木道はどうしたんだ・・・。
疑いながらロータリーまで進むと、呆れるほど簡素な駅の出入り口。
おまけに日陰になっているので、悲しくなってしまった。
そして、同時に気付いた。
南口に出たかったのに、北口にいるのだ。
なぜなら、線路を越えてはいないから。
脇にある高架の道を抜けると、途端に景色が一変した。
広々とした明るい交差点と、行き交う学生、美しい並木の始まり。

あぁ、この景色が見たかったんだ。

残念ながら、美しき駅舎は取り壊し準備の為に、四方を囲まれていた(先端は見られた)けれど、一方通行の自転車通路を走っていると、この並木が色づく時期に、ぜひまた来たいと本気で思った。
デジカメを持って行かなかったので、余計に印象深いのかもしれないが、2割引いて思い出しても、本当に素敵な景色だった。
通称「大学通り」と呼ばれるだけあって、有名どころの大学が何件かあるのだけど、こんな道を通って通学できたら、本当に楽しいだろうなぁ。

来た道がわからないので(大汗)、方向感覚だけを頼りに、我が家に向かいました。
広い道を進んで、狭い道に入り、何度か曲がると、踏切発見。
渡ってみると、驚くほど広い道に入ったので、ずんずん進むと、急なカーブ。
左方向なら折り返しただろうけど、右方向だったので、疑いなく走り抜けます。
煉瓦造りの立派な塀の大きな建物を見つけ、名称を確認すると、○○○高等学校。
この学校の名前は確認済み。
自分の住む街に入った証拠です。(すっごく遠いんですけど)
安心して、スピードを緩めながら走ると、野球場のような施設を半周しました。
よくよく見ると競輪場。
これのお陰で、街が潤っているので、へぇーと思いながら通り過ぎました。

またもや商店街のような道に入り、人混みを注意して走っていると、見たことのある看板がいくつか目に入りました。
あ!バス通りに出た!!
ほぼ道なりに進めば、我が家に到着です。
2時間にも満たないポタリングでしたが、満足満足。
その後は、迷うことなく帰宅できました。


夕食時に、旦那がこう言いました。
「今日、**まで行ったんだけど、迷ったさー。」
偶然ですが、仕事で同じ街に行っていたのです。
2人で迷い、やはり北口に出ていました。
南口の駅舎と、並木道は見ていないというので、今度は一緒に行こうと思います。
あの景色なら、喜んでくれると思うので。

あと、旦那に買った本ですが、彼も同じ本を買って帰ってきました。
明日返品に行ってきます・・・。

by keiko110 | 2006-11-02 23:17 | 自転車